19ears

女性ギタリストの素敵な歳の取り方

橋本絵莉子という人

チャットモンチーというバンドをご存じでしょうか。2018年完結したバンドなのですが、そのギターボーカル、橋本絵莉子さん(えっちゃん)という方が本当に素敵な歳の取り方をしているので、個人的な青春時代の思い出に重ねて紹介したく。

▼バンドを始めたきっかけ

今の20代、30代くらいの女性バンドマンあるあるだと思うけど、私も御多分に漏れずチャットモンチーにしっかり影響を受けて音楽を始めたクチです。高校時代、音楽好きな友人からチャットモンチーの音源を初めてレコメンドされて衝撃を受けたのを今でも覚えています。最初の印象は、音少ないのにこんなに良い曲あるの…?でした。それまでミスチルとかサザンとか、結構音数多めなバンドを聞くことが多かったので、3ピースバンドにそこでほぼ初めて触れて、一気にバンド音楽にのめり込んでいき、すぐにギターを始めることに。チャット関連の情報を集めるのに、音楽雑誌やネットを読み漁ってたなあ。

▼20代の頃のえっちゃん

生命力というアルバムの頃にえっちゃんを初めて動画等で見たので、その頃は可愛らしいなあ、でもギター弾かせたらかっこいいなあ、声がいいなあ、喋るとのほほんとしてるけど良い曲作るなあ、という印象でした。

女性だけで3ピースというバンドカラーゆえに、常に結構気張っているというか、バンドという大事なものがあって、ファンやスタッフ等その周りが段々広がっていく中で、強くならなきゃ、しっかりしなきゃ、みたいな20代らしい力の入り方というのか、そういうのがあった気がします。結婚前というのもあって、女性として見られることへの突っぱねと受容の間で揺れている感じもあったと思う。

でもその当時、私はこんな目線ではチャットのことを見ていなくて、一番思い入れの深い大切なバンドとして、自分の音楽人生の一番濃密であろう時期とともにただただ思い出を重ねっていったという感じでした。初めてライブにチャットのライブを観に行ったのもこの時で、ずっと追いかけてきた、音楽を始めるきっかけが目の前にある感じが何とも不思議で、一人ひっそりと泣いたのを覚えてます。

▼30代、そして今へ

チャットはドラマーの高橋久美子さんが脱退。自分自身は社会に出て、荒波に揉まれているところでもあったし、久美子が脱退したことで正直かなりチャットへのモチベーションが下がってしまったのもあって、つかず離れずな感じで動向を追っていた時期でした。からのえっちゃん結婚、そして妊娠。バンドの編成が変わったり、試行錯誤の時期がある中で、自分たちのやりたいことをやり尽くした形で、最終的に解散(完結)へ。

個人的には久美子が抜けてからの時の流れは結構早い気がしていて、それだけ3ピースバンドとして自分はチャットに価値を見出していたんだなあとか、形が変わってしまってもチャットの音楽が好きで、思い出を重ねてる気持ちとか、女性はライフイベントとやりたいことのバランスをとるのが本当に難しいなあとか、いろんなことを感じた時期でした。

えっちゃん個人は、出産を経て20代の頃のような気張りが良い感じに取れて、まろやかな母性を感じる中に芯があるという凄く素敵な女性になったな、と勝手ながら思いました。困難な状況でも自分のやりたいことや信念を貫いたり、紆余曲折の経験と母になったことで、真に女性らしいロックさを得たという感じ。曲も相変わらず独特なのにそれが凄く良くて、何だろう、しっかり生き様がかっこいい。上白石さんのは、えっちゃんが楽曲提供したやつです。

 

▼同じ女性として

自分も同じような年齢にこれからなっていくわけですが、しなやかさと強さは、経験の積み重ねや、人を愛したり愛されたりすることで培われるんだなあと思います。いつもいつも、今が一番かっこいい。そんな素敵な歳の取り方をしたいものです。